FOOD & RECIPE

「わたしの晩酌」vol.12 村山由紀子

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2018/03/02

「わたしの晩酌」vol.12 村山由紀子

煮込み料理が好きだ。
大きめに切った野菜と、塊のお肉をあまり手を加えずに、ゆっくりと煮込んでいく。その時の気分で少しハーブやスパイスを加えたり。急に出掛けなきゃいけなくなった時は、鍋ごとオーブンに入れて出掛けてしまったりもする。
素材のもつ力と、時間の魔法に頼った煮込み料理。
じっくり煮込んだ塊の肉は、ゆっくりと冷ましてから切り分ける。熱いままだと、綺麗に切れないし、旨味が全て外に溢れでてしまうから。
煮込み料理は、ゆっくりじっくり加熱することと、一度冷ますことが、美味しくなるコツ(あるいは魔法、テクニックなど?「ヒントだと思う」は少し違和感があります)だと思っている。

今日の煮込み料理は「豚肩ロース白菜の煮込み」。
豚肩ロースの塊肉に塩、こしょうをして30分~ひと晩寝かす。鍋に千切りの玉ネギとバター、イエローマスタードシード(気分で加えたスパイス)を入れ、しんなりとするまで炒める。そこへ豚肉とひたひたの水を加え蓋をして、コトコト煮込むこと1時間。そこへ大きめに切った白菜を加え、さらに40分ほど煮込んだ。蓋をした状態でベランダにてひと晩放置。翌日、すっかり冷めて冷たくなった鍋から肉を優しく取り出し、切り分けた。再び鍋にもどし、少し生クリームを加えて温めなおす。
お箸でほぐれるくらいに軟らかくなった豚肉と、クタクタの白菜を白ワインと一緒に。なかなか良い晩酌になりそうだ。
煮込んだスープが思いのほかたくさん出来てしまった。明日はこのスープを使ってリゾットを作ろうかと思う。

村山由紀子

料理家村山由紀子

素材の持つ美味しさを引き立てるシンプルな料理を得意とする。四季を楽しむ料理、生活を心がけながら、日々過ごしている。著書に『パンのおかず50』(実業之日本社)、『天板一枚で!毎日のオーブンおかず』(河出書房新社)など。近著に『ベジヌードル』(主婦と生活社)がある。
http://murayamayukiko.com

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