LIFESTYLE

‟作る”と‟食べる”が近いキッチン|料理家・瀬戸口しおりさん

2018/03/21

‟作る”と‟食べる”が近いキッチン|料理家・瀬戸口しおりさん

こだわり、使いやすさ、あなたの思う理想のキッチンってなんですか?
キッチンとは、その人のスタイルやこだわりといった「暮らし」が見えるスペース。
瀬戸口さんのキッチンは、リビングとひとつなぎになった対面式。
だからこそ、のこだわりが光ります。

‟作る”と‟食べる”が近いから見え方を意識したキッチンに

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コンロの周りに置くのは、使用頻度の高い塩と砂糖、やかんなどの限られた道具のみ。 

すっきりさせて、作業スペースを広く取っている。

火にかけた道具は、鍋敷き代わりの厚手のトレイの上へ

静かな住宅街に佇む瀬戸口しおりさんのご自宅は、設計士と何度も打ち合わせを重ねて完成させた思い入れのある一軒家。
2階には、開放的な対面式キッチンが備わっている。

「私がお願いしたのは、リビングとの一体感を感じる対面式キッチンであること、木を基調にしていること、このふたつです。細かなところは、私たち家族の暮らし方を見て設計士さんが考え、提案して下さいました」

1-3_dsc_9602ダイニング側にいる人が運びやすいように、カウンターの上は極力ものを置かず、
でき上がった料理を並べるスペースに。

1-4_dsc_8919また、食器棚には、普段使いのカップやおもてなし用のグラスをまとめて収納。
家族やゲストが自由に取り出せるように、あちこちで動線を工夫している

シンクとダイニングテーブルの間にカウンターキッチンはあるものの、リビングとひとつの空間としてつながっている対面式キッチン。
このスタイルにしたのは、ごはんの支度中でもリビングにいる家族の様子がわかるし、おもてなしの時には料理を作りながらゲストとおしゃべりできるから。
ただ、キッチンからリビングが見えるということは、リビングからもキッチンが見えるということ。そのため、収納には随所にアイデアが光る。

「基本は〝隠す収納〞です。仕事柄、鍋やフライパンなどの道具、食材、調味料が多いので、使う頻度によって分けています。奥のものでも取り出しやすいようにトレーを使ったりと、〝隠す収納〞ですが、目につかない道具や調味料がないように、工夫してますね」

dsc_9063リビングから見えるため、“隠す収納”が基本。
包丁は包丁用の浅い引き出しへ 

2-2_dsc_9124普段使いのツールは、陶器に立てて収納。
菜箸、スプーン、ヘラなど種類別に分けてあるので、使いたい時すぐに使える 

2-3_dsc_8975調味料は奥のものも取り出しやすいように木のトレイに並べて棚の中へ

奥行き90㎝のカウンター下の収納は中央で仕切られ、キッチン側には道具類や調味料を、リビング側にはグラスなどの食器を収納している。
奥にしまうのは撮影用や季節感のあるもの。
普段使いのものは目に見える範囲にあるので、取り出すのも簡単だ。

「意識しているのは、使う場所のそばにしまうこと。包丁ならまな板のそばの引き出し、調味料はコンロ脇の棚と、近くにあればすぐ出せて、自然と元に戻せます。浅い引き出しや大きな棚など、様々なサイズの収納を作ってもらったので、ものの大きさも考えながら収納場所を決めています」

3-2_dsc_93882階にあり、大きな窓からたっぷりと日差しが入る瀬戸口家のリビング。
対面式キッチンだと、リビングにいるご主人や長男・和楽くんとコミュニケーションが取れ、
家族で一緒に過ごす時間もぐんと増える 

3-4_dsc_8985輪ゴムは何かと頻繁に使うけれど、目立つ場所には置きた
くないもの。フックに少量だけ引っ掛けておけば、いつでも使える。

3-5_dsc_9163同様に隠しておきたいビニール袋は、
箱に入れて布をかぶせておく

キッチンの定位置

①盛り付けはコンロ脇のスペースで

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料理を器へ盛り付けるのは、カウンターのコンロ脇スペース。
できたての料理を、移動せずにそのまま盛り付けられる。
「ここなら、ダイニングにいる息子にも渡しやすく、お手伝いしてもらえます」

②炊飯は移動可能なワゴンの上で

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カウンター脇のワゴンは炊飯器の他、お茶や乾物などを保管する場所。
「炊飯器はなるべく隠しておきたいもの。ワゴンに置いておけば動かせるので、来客時には目立たない場所に移動させます」

③切り物はシンク脇とコンロ脇の2 カ所に

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シンク脇とカウンター側のコンロ脇、ふたつの作業スペースがあり、
切る食材によって定位置が変わる。「魚をさばく時は、すぐに水が使えて三角コーナーもある、シンク脇で切るようにしています」

【PROFILE】

せとぐちしおり
セツ・モードセミナー在学中、東京・吉祥寺にあった『諸国空想料理店KuuKuu』で働き始める。
その後、同店シェフで料理家の高山なおみ氏のアシスタントを経て、独立。
著書に『おいしい歳時記』(オレンジページ)、『初めて作る保存食』(KADOKAWA)など

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