LIFESTYLE

”しまう”ではなく”使う”収納|陶芸家・石川若彦さん

2018/03/19

”しまう”ではなく”使う”収納|陶芸家・石川若彦さん

デザイン、配置、道具……あなたの想う理想のキッチンってなんですか?
キッチンとは、その人のスタイルやこだわり、〝暮らし〞が見えるスペース。
調理のしやすさを一番に考えたら自然と扉のないキッチンに。
今日もここで石川さんは伸び伸びと料理を楽しみます。

晴れの日も雨の日もここで作って一緒に食べる。 キッチンは暮らしの中心

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前の住まいは食卓が離れていたため、お客さんが気を遣うこともあったそう。
「今の家は料理をする
ところと食べるところがひとつになっているから、
一緒に飲んでおしゃべりができる」とにっこり

益子郊外の森の中に、住居とアトリエを構える、石川若彦さん・綾子さんご夫婦。玄関の扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのが、ピカピカによく磨き込まれたキッチン。
「部屋の中にキッチンがあるというより、キッチンに住んでいるみたいでしょ」と若彦さんが笑うように、文字通りキッチンが暮らしの中心にある住まいだ。

設計する上で重視したのは、「とにかく料理が作りやすいキッチンである」ということ。
気の置けない友人たちが遊びに来たり、アトリエ展で自宅を開放したり、いつでも人が集まる石川家。
そしてそんな時はいつも若彦さんが料理の腕をふるう。

石川家では料理を作るのは若彦さん、下ごしらえと片付けをするのは綾子さんと役割分担しているのだそう。
「わかちゃん(若彦さんのこと)はね、ボウルもザルもじゃんじゃん使うの。まるで料理屋さんみたいにね(笑)。でもそうやって料理にぐっーと集中するから美味しいのね」と綾子さん。

_2214ピーラーやおろし金などは、バットにまとめてすっきり 

_2232ラップ類は「棚にあるとゴタゴタして見える」のでバケツに入れてシンク下

_2084塩をすくうさじや焼き物の際に使うトングは、
調理中に何度も使い、置き場所に困る道具には専用の入れ物を用意

若彦さんが伸び伸びと料理ができるよう、キッチンにはそこかしこに工夫が散りばめられている。
使える道具があるべきところにちゃんとあり、必要なものがすぐさま手に取れる。美しさやかっこよさではなく、追求したのは2人にとっての使いやすさ。
ありのままを映すキッチンは、見る人が「どんな料理が生まれるのだろう?」と胸を弾ませるような、いきいきとした魅力にあふれていた。 

_2181よく使う包丁はバットに入れてシンク前の台の上に。
洗った野菜をまな板にのせたら、すぐに取り出せる目の前の位置だ。
1年に数回しか使わない刺身包丁などは別の場所にしまっている

_2069菜箸などの道具はコンロ横の棚に収納。カトラリー立ては若彦さんの作品。
倒れないよう重さを持たせて作ってある 

キッチンの定位置

①切り物はシンクの横で

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シンクとコンロの間の作業台の上が切り物の定位置。
小さいまな板の他にシンクの奥行きにぴったりのまな板を持っているため、
大物を切る際にはシンクに渡して使う。スペースの有効活用にもなる

②料理の一時置き場は鍋の棚に

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棚には基本的に頻繁に使うものしか出していないため、ゆとりがある。一度にたくさんの料理を作る時などスペースが必要な場合は、道具類を少し詰めて、棚の一部を料理の一時置き場として活用している

③炊飯は椅子の上で

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普段は炊飯器は棚の中にしまい、その下に椅子を収納。
ご飯を炊く時は炊飯器を椅子にのせて炊く。
蒸気が上がって棚の中では炊飯できないため考え出したアイデア。
椅子は自作のもので炊飯器専用。

【PROFILE】
いしかわわかひこ
栃木県益子町で作陶し『waka studio』を構える人気の陶芸家。
各地での個展やイベントにて作品を発表している。子どものころから料理好きで、その腕前もかなりのもの。奥様の綾子さんは自宅の一角で子どものための私設図書館『まーしこ・むーしか文庫』を主宰

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