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旅の途中で出合った
美味しい器

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2017/10/17

旅の途中で出合った<br>美味しい器

沖縄での旅の途中に立ち寄ったギャラリーで木の性質や木目を生かした素敵な器に出合いました。作り手の木工作家、藤本健さんのアトリエで、器づくりの現場を見ながら、いろいろなお話をうかがいました。

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もともと家具職人だった藤本健さんが器を作り始めたのは6年前。オーダーに応える家具製作よりも、自分の感性で生み出せる器の可能性を信じ、本格的に製作を開始。以後、木の性質を見極め、木目や特徴が生きる独創的なデザインが健さんの器の魅力となった。一番大事なところに穴が空いたボウルや、エッジの部分が割れて、カーブも滑らかでないものなど、ユニークな皿が、ギャラリーには美しく並んでいる。どれもが世界にたったひとつしかない器だ。

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「南城市の造園屋さんから、伐採や剪定のために処分された木を丸太の状態で仕入れて、木工旋盤で成形します。成形前に乾燥させるか否かで、最終的な変形の度合いは異なりますが、十分に乾燥させても、想像以上に変形して割れる時もある。でもそういうのがいいなと僕は思うんです。何十年かけて成長してきた木にはそれぞれ個性があります。木と対話しながら旋盤と向き合うのって楽しいですよ」

 健さんは、いのちを終えたかのように見える木に、新しいスクブン(沖縄方言で役割)を与えるために南城市に来たのかもしれない。

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8年前沖縄で土地を探し始めた時、友人にすすめられて最初に出合った物件が今の土地だ。

以来、約1年をかけて自宅兼ギャラリーをほぼひとりで作り上げた。ここでの暮らしは他人との距離が近い。同じ年代の子どもがいるご近所さんとホームパーティを楽しむこともしばしば。もちろん健さんの器が大活躍。器の用途は決めずに使い手にゆだねるそう。調理前の食材を乗せればボウルがわりに。器いっぱいに盛り付けたパテって、レストランじゃちょっとありえない。あちこち欠けた器を取り皿にするなんて!

 そうそう、器選びのおもしろエピソードを教えてくれた。

「カップルで訪れる場合、女性の場合は、どんな料理を盛ろうか、水が漏れないようこの辺に穴はないほうがいいよねとか、実用重視で選びますけど、男性は何にも考えないで、インスピレーションでこれ! きっと料理しないんでしょうね(笑)」

 でも、健さんの器なら、きっと何でも受け入れてくれるはず。

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_dsc3069藤本健さん

愛知県出身。東京で家具職人として働いた後、沖縄へ移住。宜野湾市にて家具職人として独立。2012 年、南城市の自宅の敷地内にgalleryk.をオープン。木の特徴をデザインした独創的な器が注目を浴びている

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