FOOD & RECIPE

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食べることも、撮ることも好きだから“おいしい”を自分らしく伝えていきたい

2018/12/03

食べることも、撮ることも好きだから“おいしい”を自分らしく伝えていきたい

“インスタ映え”が流行語になるずっと前から、食をテーマに写真を撮り続け、また「おいしい写真」を発信するインスタグラマーとして、多くの注目を集めている料理研究家“higuccini”こと樋口正樹さん。しかし、料理も写真も、すべて独学だという。それなのにどうして見る人の胃袋をぎゅっとつかみ、心をくすぐる写真が撮れるのか。そこには、彼ならではの好きなものに対する哲学があった。

20万フォロワーを持つインスタグラマーに、おいしい写真を撮る秘訣を聞いてみると……?

「とにかく真似ること。そして納得いくまで撮ることだと思います」“どうしたらおいしそうな写真が撮れますか”という問いにシンプルに答えるのは、20万を超えるフォロワーに向けて日々「おいしい写真」を発信する”higuccini”こと樋口正樹さん。「きっと誰にでもできることですよ」と謙遜するが、美しいキツネ色の焼き目をした餃子、かわいらしいスイーツ、丁寧な暮らしを想像させる、品よく盛られた和朝食など、樋口さんが実際にアップしている写真を見れば見るほど、実際はきちんとした基礎や、センスという素養が必要なのではないかと疑ってしまう。

「ボクの場合は、好きなものを探すところからはじめました。ピンタレストというアプリがあるのですが、それを使って徹底的に自分が“好きだな”とか、“うまそうだな”って思う写真を集めるんです。

最初はいろいろな系統のものにピンを立ててしまうかもしれませんが、ひたすら集めていくと自分の好みの写真が具体的に見えてくる。その次に、どうしたらこんなふうに撮れるのかを考えて、実践するようになりました」

樋口さんが使っている機材は、レンズこそ少しこだわっているが、ボディはいわば入門機。手の届かない類のものではない。

「僕も初めて一眼を使ったときには“これなら思い描いているものが撮れる”って興奮しましたし、表現したい写真を叶える機材は最低限必要なのですが、同時にたくさん撮ってみることも大切だと思っています。好きな写真をどうしたら再現できるか、気が済むまで撮るのも楽しい時間ですよ」

何にも目指すところがなく“おいしい写真”を求めてしまうと、1つの料理に対して何百回もシャッターを切るようなことになってしまうかもしれないが、樋口さんはやみくもに撮ることを勧めない。

「いま僕が決めているルールの一つが、1日1メニュー、10カットしか撮らないということ。

食べることも好きなので、写真ばかり撮ってて料理が冷めちゃうのは、やっぱりイヤなんです。作った料理は妻と食べているので待たせるわけにもいかないですしね」

結果、メニューが一つなら真剣に考えるし、10カットって決めれば事前にどう撮りたいかを想定して、集中できるという樋口さん。料理も楽しみたいという彼らしいこだわりだ。

樋口正樹さん

料理写真

higucciniのルーツは料理を振る舞うこととウェブメディア

長野県に生まれ、小さい頃からおいしいものが大好きだった樋口さん。高校時代は山岳部に所属し、ワンバーナーで天ぷらを揚げたりはしていたが、まだ料理も写真も本気で取り組んでいたわけではなかった。

「ちゃんと料理をし始めたのは、上京した学生時代からですね。いかに冷凍食品を使い回すかって、節約の意味もありましたし、料理できた方がモテるっていう、邪な気持ちもありました。友人に振る舞うのも好きでしたね。料理を作る機会は作ろうと思えばいくらでも作れたので、チャーハンとか餃子とか、好きなものはとことん作り続けて、失敗を減らしていきました」

大学ではメディアデザインを学び、ウェブ関連の企業に就職。各社のホームページ制作などを引き受け、しばらくは仕事漬けの日々を送るうちに、ブログなど個人向けのデジタルメディアがトレンドに。樋口さんもブログをはじめたが、テーマはやはり、自分の好きな料理中心になった。

「料理の写真やレシピコンテンツの強さは仕事を通して実感していましたし、自分の好きなことでもあるし、だったら自分でもやってみようと思ってはじめました。作って、撮って、ブログにアップして、反応を見てアレンジして。そうしているうちにブログでの反応も増えてきて、仕事をいただくようにもなりましたね」

社会におけるメディアもウェブが中心になってきはじめた2011年。樋口さんは15年務めた会社を辞め、料理研究家としての活動をスタート。その後わずか5、6年で、雑誌に連載を持ち、著書を手がけ、人気インスタグラマーにまでなった。自らの料理好きな部分と、仕事での経験、そしてこだわり続けた写真で、人生ががらりと変わったのである。

クラムチャウダー写真

餃子写真

反応があるから楽しいし、数字はモチベーションにもなる

「まずはできるだけ自然光で撮ること。そうすることで写真の仕上がりに統一感を持たせています。季節感は少しだけ先取りすることで、真似してもらいやすくなります。それからシンプルな白い食器に盛り付けることで、数日後に同じ食器が出てきたとしても見る側は気にならなくなりますよね」

惜しげもなくインスタで写真投稿を続け、ファンを増やすための持論を語ってくれる樋口さん。誰にも教わらずに作ってきたからこそ確立した樋口さん流の方法は、細かな部分まで、誰でも真似できそうなことばかりだ。

「やっぱり“いいね”が少ないとちょっとがっかりしますよ(笑)。あぁやっぱり今日のはダメだったかぁって。もちろん評価を得やすいメニューと、そうじゃないメニューがあることもわかっているんですが、日々自分で食べるものなので、評価だけ気にしていたら苦しくなってしまう。毎月ひとり編集会議をして、1カ月でどんなメニューをどんな流れ、頻度で作っていこうかなって、1冊の雑誌を作るような気分で考えながら、計画的にやっているのも続けていくための秘訣かもしれませんね。それでも妻には“また餃子なの?”なんて言われちゃいますけど……」

餃子、朝の和定食といったカジュアルなものから、コースに出てきそうな本格メニュー、そしてときどき猫。樋口さんのインスタをウオールで見ると、統一された世界観のなかに、さまざまな写真がバランスよく配置されていることに気づく。

「やっぱり見る人に“おいしそう”って思ってほしいですし、楽しんでほしいですからね。一眼レフで撮るのも、理由は臨場感。目、鼻、口。食べるって行為は顔の中心で行うことだから、操作が顔から離れてしまうスマホより、一眼レフでファインダーを覗いて撮る方が絶対“おいしそう”に写ると思うんです」

料理のこと、写真のことをキラキラした目で語る樋口さん。その根底には、料理をもてなすのと同じ、“おいしい”という幸せを多くの人と共有したいという思いがある。

「世界で見れば600万人のフォロワーがいる料理人さんもいます。最近アジアを中心に日本人以外のフォロワーの方も少しずつ増えてきましたが、僕はまだ20万人。料理を通じてそれだけ多くの人とつながるチャンスがあるんだと思うとわくわくします」

大好きな料理で世界とつながっていくこと。世界中の人々と“おいしい”を共有すること。樋口さんの好きを追求していく挑戦は、まだまだ続いていく。

猫とパンケーキ写真

【PROFILE】

樋口正樹(ひぐちまさき)料理研究家

東京造形大学を卒業後、IT企業のデザイン部門に15年勤務。勤務中から料理ブログをはじめ、2011年に独立、『Kitchen Studio HIGUCCINI』を設立し、料理研究家として出版物を手がけながら、食や生活に関するWeb、SNSなどの制作も行う。

【Instagram】@higuccini樋口正樹さんプロフィール写真

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