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大切な誰かへのプレゼントには本がおすすめ! 

2018/09/12

大切な誰かへのプレゼントには本がおすすめ! 

世の中にはいろいろな本があります。ファンタジーにノンフィクション、心が沸きたつようなものから、人生を考えさせるようなもの、大人向けから子ども向けまでジャンルは様々。本は手ごろな値段で買えて、自分の思いをダイレクトに伝えられることができるおすすめのプレゼントなのです。世界観や写真で選ぶのも良し、文字情報だけの一冊を贈るのも良し。自分が好きな本から感じ得たことを、ギフトという方法で今度は大切な誰かに贈ってみませんか? おすすめの人気アイテムシュチュエーション、予算に合わせて選ぶプレゼントもよいですが、相手によって贈るものを自分なりに厳選してみるのが何より大事なことですよ。

ブックディレクター幅さん厳選! シーン別でわかる本のギフト

本

僕が本を贈る時はだいたい3冊くらい一緒にラッピングします。ピンポイントでその人の好みに刺さるものというのは意外と難しいので、選択肢があったほうがいい。ただし、複数冊選ぶ中でも、それぞれ役割が違うものを選ぶようにしています。物語が良い人もいれば、本を読む時間なんてないから短くて装丁のキレイな本が良い場合もある。笑えるくらいのものがいいのか、シリアスなほうがいいのか、それよりもちゃんと役立つ実用系が良いのか……。乱暴に聞こえるかもしれませんが、その人にとってどの本がベストなのかは、「分からない」。

もっと言うなら、本は食べ物みたいなもの。どうしても肉が食べたい日とかってあるじゃないですか。一方で今日は野菜と湯豆腐で結構です、みたいな日もあったり(笑)。その日の自分に一番ストレスのないものを手に取ってもらうという意味でも、複数冊贈るのがおすすめです。相手をよく知り、あの人はこの作家さんが好きだから……など、相手の好みを知っていれば一冊でも良いかもしれないですが、本の価格はほかのギフトに比べれば高くない。ならば複数冊合わせて贈り、どれかはその時の気分にマッチするのではいか、と考えてはいかがでしょう? 是非、本を贈る際のご参考としてください。

幅さんと本【PROFILE】
幅允孝
有限会社BACH代表。ブックディレクター。未知なる本を手にしてもらう機会をつくろうと、本屋と異業種を結びつける売場やライブラリーの制作をしている。日々のご飯と酒を愛し、食関連本には一家言ある模様。

出産したてのあなたへ贈る本

妊娠・出産を機に贈る本をセレクト。子どもが生まれた喜びから産後うつの悩み、母親になったあの人の気持ちを包み込んでくれる内容がずらり。出産祝いとなるとおくるみやスタイなど他の人と被ってしまいがちですが、本なら被ることはないプレゼントとなるでしょう。

育育辞典育育児典(岩波書店) 毛利子来、山田 真
子どもの“ なぜ?” に気付く
子どもって不思議なことをするけれど、インターネットの検索だと何が正しい情報か分からない。そこでこの『育育児典』が活躍します。この本の良いところは、町医者の方が書いていること。長い間、現場で子どもと接してきた経験値から、本当に大事なことを教示。

レモンうむもん!れもん、うむもん!― そして、ママになる―(新潮社) はるな檸檬
産後うつに向き合う奮闘記
はるな檸檬さんの育児漫画。4コマで可愛らしいタッチで描かれていますが、なかでも産後うつの描き方はすごいなと思う。はじめての妊娠出産に戸惑い、身も心も疲弊していく様子が、リアリティを持って描かれている。そして、そこからの回復も。

ある一日ある一日(新潮社) いしいしんじ
ある夫婦の食と出産の小説
前半は夫婦が京都の錦市場で良い食材を買い込んで、料理して食べるという話。ところが食べていたら急に陣痛が始まって、後半は急に出産小説に。何かを屠って何かが生まれる。命の循環のようなものを感じます。出産の瞬間をここまで描き切る小説作品って、ないと思う。

今日ーTODAY-今日 t o d a y (福音館書店) 伊藤比呂美 訳/下田昌克 画
子育てって大変で素晴らしい
ニュージーランドの子育て支援施設で読まれている詩。子育て中だって、毎日きれいでありたいけれど、できないわけですよ。子どもが眠るまでは。自分のことがままならないなか、“子どもを大切に育てる” ということをちゃんとやっているんだから、「それで大丈夫」と応援してくれる一冊。

ママはてんぱりストママはテンパリスト 1(集英社) 東村アキコ
モヤモヤも笑って吹き飛ばす
東村アキコさんのこの漫画は、まさに育児エンタメですね。ふとした瞬間にくる、どーんと重い気持ちや、夫が育児をしないストレス、子どもってなんで2時間ごとに泣いてミルクを欲しがるの!? など、子どもに対する、たくさんの“なんで!?”を笑って吹き飛ばせる漫画。

子育て中のあなたへ贈る本

小学校や思春期、誰にだって子どもだったころの経験がある。しかし、大人になってから子供の気持ちをわかるのは大変で、子育ては困ることのほうが多い。こんな風に育てたいと思っていても思い通りにならない現実。オーセンティックな本からちょっとぶっ飛んだもの、王道まで揃う子育て本をご紹介。

子どもはみんな問題児。子どもはみんな問題児。(新潮社) 中川李枝子
保育士の経験が生む子どもへの視点
『ぐりとぐら』の作者・中川さんの本。赤ちゃんのときどうだったかという話は、子どもにとってはつまらないなど、保育士として17年勤めた経験を持ち、リアルな子育ての現場を見てきたからこその、目から鱗な視点も。子どもの力強さを知れる。

子供が体験すべき子どもが体験するべき50 の危険なこと(オライリージャパン)
Gever Tulley、Julie Spiegler 、金井哲夫(翻訳)
やっちゃいけないことをやってみる?
車の窓から手を出す、乾電池をなめてみる。ダメと言われることがなぜ危ないのかを、安全に試して危険だと体感できる本。ストレートな学びの在り方。

こどもの発想こどもの発想。「コロコロバカデミー」ベストセレクション(アスペクト) 天久聖一
つまんない大人になった笑 そんなことを憂う本
コロコロコミックにあった読者投稿欄のページ『コロコロバカデミー』を再編集。わざと間違えなさいという、子どもに全力で0点を取りにいかせる本。天才的な答えがたくさん!

女の子が幸せになる子育て女の子が幸せになる子育て(かんき出版) 漆紫穂子
人としてどのように育てていくべきか
漆紫さんは教育というより人間としてどう育っていくかということを大切にされている方。学校教育で出来ることを語りつつ、その限界も領分として知っている。家でしかできないこともあるという。女の子だけではなく、男の子の親にもおすすめ。

しろいろの街の、その骨の体温のしろいろの街の、その骨の体温の(朝日新聞出版社) 村田沙耶香
女の子が少女に変容していく様を見事に描く
いじめやスクールカーストなど、小学校から中学校に上がって変容する人間関係の一番厳しいところを描く。教室の中の払しょくしがたい価値観。その奴隷でいることをいかにして乗り越えるかを描いた話。

恋愛中のあの人へ贈る本

新しい恋、純粋な恋、愛するがあまり狂気に走る恋、現代人の恋。恋にだっていろんなかたちがある。恋愛中って周りが見えなくなってなにか大切なものを失いがち。だからあの人へ贈るプレゼントは、はっとさせられるそんな本がいいのかもしれない。大切なあの人は、今どんな恋愛をしていますか?

すべての見えない光すべての見えない光(新潮社) アンソニー・ドーア、藤井 光/訳
ストーリーを積み上げひとつに
ドーアは短編小説の名人。彼がこの小説で試したのは、とても短い物語を210ほど積み上げ、ひとつの壮大なストーリーを作りあげたこと。だから長い物語が苦手な人でも読み易い。少年と盲目の少女の物語は、周辺の短い物語と共に広がっていく。

初恋と不倫往復書簡 初恋と不倫(リトル・モア) 坂元裕二
メールの行間を読む
『最高の離婚』の脚本で知られる著者の書簡小説。ふたりの登場人物のメールのやりとりだけで物語は進んでいく。数秒ごとのチャットもあれば、数年後の返事もある。それらが並列に書かれることで、読み手は時間の揺れを感じながら、物語に引き込まれていく。

みんなの恋愛映画100 選みんなの恋愛映画100 選(オークラ出版) 山瀬まゆみ、小川知子、中村志
きっと恋愛映画を観たくなる
人気のイラストレーターと3人の女性編集者の共著で送る、恋愛映画100選。いわゆる恋愛映画と呼ばれないジャンルも入っているところが僕はいいと思っている。様々な映画から見る恋愛シーンを抽出してセリフとイラスト、レビューで綴る映画入門本。

死の棘死の棘 (新潮社)島尾敏雄
 狂う人「死の棘」の妻・島尾ミホ(新潮社) 梯久美子

狂乱の果てにどこへ行く
『死の棘』は文学史上最“狂”の夫婦喧嘩といっても過言ではありません。夫の不貞がバレ、妻に謝り続けるのですが、妻は少しずつ壊れていく。それに付き合う夫も狂ってゆく。やがてそれが至高の愛とも呼べる関係になる不思議と、その真実を描いた愛の小説。

動物が好きなあの人へ贈る本

やっぱり動物の本はハズせない。かわいい姿を愛でるだけでなく、動物の成り立ちや、芸術としての動物など楽しみ方は多彩なのもまたいい。きっと難しい文字よりも写真が多い本のほうが喜ばれると思っている。さらに好きな動物をリサーチして、その動物のことしか書かれていない本も面白いと思ってもらえるだろう。好きな1ページを額縁に入れて飾るなんていうのも楽しみ方のひとつだ。

読むパンダ読むパンダ(白水社) 黒柳徹子 選 日本ペンクラブ 編
パンダのことをもっと知りたい
日本パンダ保護協会名誉会長の黒柳徹子さんが編者のパンダエッセイ。様々なパンダ関係者が書くエッセイや、歴代パンダ飼育係の日誌、シャンシャン誕生まで、パンダ好きなら押さえておきたい一冊。黒柳さん、元上野動物園園長の土居さん、今の上野動物園パンダ班班長の鼎談が良かった。

天地創造天地創造デザイン部(講談社) 原作/蛇蔵&鈴木ツタ 作画/たら子
天地創造の神は下請けに発注!?
動物の体は神様が作ったとよく言いますが、本書は神様がデザイン発注をした下請け会社が舞台。依頼に対してこういう形の動物がいいのではと企画して、エンジニアが実現可能かどうか検証をする。ペガサスが羽で飛ぶには今の50倍の筋肉が必要など、リアリティをもとにしている漫画。

熊谷守一 熊谷守一画文集 ひとりたのしむ 著/熊谷守一 写真/藤森 武
熊谷守一の猫 (求龍堂) 著/熊谷守一 文/熊谷黄「父と猫と家族と」
愛さずにはいられない熊谷の猫
熊谷守一は絵描きとしては本当に素晴らしい人。やる気待ちがとても長く、自分の思った線が描けないと悩み、子どもが病気にも関わらず、生活のために描くことはなかった。彼の選ぶ線は、とにかく凝視してモノを書くので、究極の線だなと思う。本シリーズの中でも4は、そんな熊谷が描いた猫だけの本。

言葉をあの人へ贈る本

丁寧で美しい言葉、現代風の新しい言葉、誰かからの言葉、自分からの言葉。いろいろな“言葉”が気になる人には、言葉が詰まった本がおすすめ。人生の何かきっかけとなる一文が隠されているかもしれないし、新たな感覚を手に入れることができるかもしれない。たまには、自分の言葉じゃなくて他人の言葉を借りるのもいいではないか。

語感の辞典日本語 語感の辞典(岩波書店) 中村 明
言葉の感覚って奥深い!
著者の中村さんは言葉のプロフェッショナル。素っ裸と真っ裸の違いや、同じようでどこか違う“語感”というものが絶対にあるという思いから、自らこの辞典を作りました。文を書く人はこういう辞典を引いてみるといいと思います。これはどこを読んでも面白い。言葉を大事にしたい人へ。

芸術をめぐる言葉芸術をめぐる言葉(美術出版社) 谷川 渥
名言から芸術に興味を持つ
いわゆる芸術家と呼ばれる方の名言を現代美術の文脈から解説する本。今の世の中、時間の奪い合いが激しい。長い文章は読まれにくいので、こういう本をきっかけにアートの世界に興味を持つというのも良いことだと思います。

美しい街美しい街(夏葉社) 尾形亀之助
どうしようもなく美しい詩
尾形は戦前、資産を食いつぶして、それでも全然働かなかった大貧乏の詩人。とにかく孤高。詩も短い。けれどその余白というか余韻がとてもいい。緒方亀之助好きの能町みね子さんによる巻末のエッセイもいい。理由なく、すごく惹かれる美しい詩集。

たとえる技術たとえる技術(文響社 Bunkyosha) 著者 せきしろ
ひとつの言葉の可能性
「たとえる」ということはどういうことなのか、たとえる技術があれば、目の前の世の中を見る視点が、ちょっと変わるんだということを教えてくれる。著者のせきしろさんは、そんな深いことなんて気にせず、とにかくゲラゲラ笑ってほしいと思っているような気もしますが。

普段あまり本を読まない人も読む人もプレゼントに贈ってみたくなりましたか? 食べ物や日用品は使ってしまえば無くなりますが、本はいつまでも形として残り、思い出としても残りやすいものです。時には、言葉を贈り、時には写真集を贈る。表紙でビビッときたものを贈るのもいいと思います。大切にしたい節目のときこそ素敵な一冊をぜひ選んでみてください。

Kurashi Vol.3 改訂版

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お歳暮やお中元といった年中行事、結婚や出産といった人生の節目、誕生日やクリスマス、無沙汰を詫びる、仕事のご挨拶、日々の感謝など、様々なシーンでわたしたちはギフトを贈る。「失敗しないように」、「わたしのお気に入りだから」、「1点もの」など、贈り物選びの考え方は様々ありますが、肝要なことは、選んだものよりも相手を思いやる気持ち。相手を思って選んだかどうかは、受け取る相手に伝わるものです。贈られたその瞬間の相手の顔を想像しながら丁寧に考え、贈るという行為は、清く尊い心の文化です。

雑誌の情報はこちらから。

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