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包丁のGLOBALがGLOBAL-ISTにかけた想いとは【前編】

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2018/06/28

 

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Kurashiプロジェクトでは、雑誌にWEBにと日々お世話になっている料理家さんの間で愛用者の多いGLOBAL®の包丁。世界初のオールステンレス一体型包丁で知られるGLOBALから、新たに日本人の使い勝手に合わせたGLOBAL-IST®というシリーズが誕生しました。

「料理を家事の一環としてのみ考えるのではなく、あえて手間をかけ、手間を楽しみ、たくさんの愛情を注ぎこむことが料理の悦びだと考えたい」そんな人のために作られたGLOBAL-ISTの制作秘話について『Kurashi』編集長の杉村が話を伺いました。前編後編の二部作です。

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まずはその歴史から。切れ味と手入れのしやすさを兼ね備えた機能性と、ステンレスの素材美が高次元で融合したGLOBALの包丁は今から35年前、洋食器産業で有名な新潟県燕市にある吉田金属工業で誕生しました。

テーブルナイフで培った製造技術を生かし、満を持して発売。しかし、持ち手は木製、刃は鋼が一般的であった当時の日本において、そのデザインはあまり受け入れられませんでした。そこで、販路として目を向けたのは海外。ドイツの見本市で賞賛されたことを機にヨーロッパの名だたるシェフが使用。その後、一般の人々にも人気が伝播しました。

その人気は逆輸入される形で母国である日本へ。1990年にはグッドデザイン賞を、2002年にはロングライフデザイン賞を受賞するなど、現在は国内でも確固とした市民権を得ています。

そしてGLOBALの誕生から30年の時を経て、GLOBALから新たにGLOBAL-ISTという日本向けのシリーズが誕生しました。万能包丁1本ですべてを切るのではなく、食材や調理方法に適した包丁を使い分けることで手早く安全に、仕上がりの美しさや舌触りのよさを得ることができるシリーズです。

今回はそんなGLOBAL-ISTにかけた想いについて『Kurashi』編集長が話を伺いました。

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左:営業部部長の小野悟さん。鮮魚を求めて魚市場にいくほどの刺身好き。好きな包丁はやっぱり柳刃包丁

中央:営業部の滝口絵里さん。面倒くさがりというが、得意料理はじゃがいも料理。コンパクトな皮むき包丁で丁寧に皮をむく

右:商品開発課の脇田和海さん。好きな包丁に万能包丁を選ぶ隙のなさ。得意料理は、家庭料理の定番、カレー

その魅力を説明できる商品しか、売りたくない。

編集長:そもそもGLOBALの包丁はプロに対しても、家庭に向けても、認知も人気も高いですよね。それにも関わらず、なぜ新たにGLOBAL-IST (以下IST)を作ったのですか?

小野:GLOBALの包丁は1983年に誕生したのですが、国内よりも海外でのニーズが強く、はじめの15年は海外での販売が多くを占めてきました。ヨーロッパ、北米、オーストラリアと世界展開が広がっていくと、さらに様々な国からリクエストが来て、もう少しハンドルを太くとか刃渡りを長くとか。そういった声をあれもこれもと応えてローカライズしていったところ、型数がどんどん増えていって、現在、海外向けシリーズは100種類以上ものモデルがあります。

編集長:そんなにあるんですか!? 国内消費者はその全容を知らないと思います!

小野:はい。そうだと思います。創業者の口ぐせだった「お客さんに喜んでもらうためにわれわれは頑張る」という言葉通り、基本的なフォルムやドットパターンなど守るべきブランドアイデンティティーは貫きつつも、その国の人が喜んでくれるのなら、メーカーとして応えています。実は国内でもISTの発売まではGLOBALのスタンダードモデル(以下スタンダード)が30種類近く、プロシリーズが20種類近くと、全部で50種類以上ありました。

編集長:国内でもそんなにバリエーションがあったんですね。海外向けと国内向けが細かく分かれていることも知りませんでした……。

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小野:でもリクエストに応じてバリエーションを増やした一方で、その1つひとつの違いや用途を自分たちでも説明しきれなくなってしまいまして……。そこでわれわれの製造・販売は何のためにやっているのかというところに立ち返ったんです。創業者もよく言っていたのですが、単にモノを作って販売するのではなく、お客さんに喜んでもらうという付加価値でお金を頂戴しているので。そう思った時に何かスッキリしなくて。説明しきれないという姿勢はメーカーとしてよくないなと思ったので、一度自分たちが説明できる商品だけにしようと国内で販売しているものを一から整理整頓しました。

編集長:メーカーとして真摯な姿勢を感じます。整理整頓を経て今は何本になったのですか?

小野:プロの方は修行を終えると親方から包丁をもらったり、お弟子さんや系列店は修行したお店と同じ包丁を使う慣習があったりするのでプロシリーズは取扱いをやめ、スタンダード15種類とIST6種類の計21種類になりました。ISTは日本の一般の方のなかでも料理や道具に対して少しこだわりのある方に向けて作っていますが、洋包丁が万能、小型、皮むき、パン切りの4種類、和包丁が小出刃と柳刃の計6種類と最低限の本数におさえました。

編集長:なるほど。日本での取り扱いはスタンダードとISTの2シリーズになったんですね。では、その2シリーズは何が違うのですか?

小野:ひとつは切れ味です。スタンダードとISTは刃付けの方法が違うので、切れる時の感覚がまったく違うんですよ。

編集長:切れる時の感覚……? 音ですか、それとも感触ですか?

滝口:言葉にはしづらいのですが、スタンダードは「なめらか」な切れ味で、ISTは「鋭い」切れ味と説明しています。体験しないとわかりづらいですね。

~編集長切り比べる〜

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編集長:たしかに違う! スタンダードはなめらか。「ふわっと」切れていく感じ。一方のISTは「さっと」切れる。これは言葉にするのが難しいですね。

滝口:そうですよね、切れ味って体感なので言葉にしにくいですよね。スタンダードは刃先が丸みを帯びているので、どこもつっかかることなく、「ふわっと」食材に入って行きます。逆にISTは食材に対して「しゅっと」入ります。多分食いつきがいいんですよね。これはみなさんの好みなのですが……。

編集長:同じように見える包丁でも、こんなにも切れ味が違うとは思いませんでした。この違いについてはデザイナーの脇田さんに詳しく話を伺いたいです。

前編はここまで。
後編では開発にかかわったデザイナーのこだわりやGLOBAL-ISTが目指す家族の絆、料理のあり方にフォーカスします。後編はこちら必見です。