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美味しいパンとスープがあれば、それだけで幸せ  by 料理家・星谷奈々さん

2018/05/23

美味しいパンとスープがあれば、それだけで幸せ  by 料理家・星谷奈々さん

香ばしいトーストの香りで始まる朝は、なにかいいことが起こりそう。そんな気分になるのはなぜだろう。
“パンがある”、ただそれだけのことで幸せがやってくる。毎日食べても飽きない、パンの魔法。
美味しくて、かわいくて、心ときめく星谷さんのパンの世界。そこに合わせるスープのこだわり。
パンとスープの魅力は、少しの遊び心で楽しく広がります。あなたは、どんなパンとスープを合わせますか?

「美味しいパンとスープがあれば、それだけで幸せ」

春色のポタージュの上でパンを割く星谷さん野菜をじっくり蒸し煮して作るポタージュは、
軽やかで身体に染み込むような滋味深さ。

パンを浸しながら食べるのが好き。

 

春色のポタージュを器によそったら、オリーブオイルを回しかけ、タイムをぱらり。
それだけでスープの表情が美しく変わる。添えるのはぷっくり膨らんだバナナの形のプチパン。
並べれば、食卓の上に童話のような優しい世界が生まれた。

「美味しいパンとスープがあれば、それだけで幸せ」と話す、料理家の星谷菜々さん。
普段は野菜をたっぷり使ったポタージュに、素朴なパンを浸してラフに食べるのが好き。
パンはスープを引き立てるシンプルなものが好みで、買い置きがない時は自分でも作る。
生地をこねたら、丸めてカタツムリにしたり、バナナやコアラを作ったり。

「こねているうちに、あれこれ形を作ってみようと思い立って。子どもっぽいかなと思いつつ、焼き上がった時のかわいい姿を見ると、やっぱりにっこりしちゃうんですよね」
かわいさに胸をときめかせるのは子どもも大人も同じ! 
形を工夫すると、うきうきと胸が弾みます。

コアラのパンの生地に鼻となるアーモンドを置く星谷さん

「ヨーロッパの田舎でお家にお邪魔すると、よくスープやパンでおもてなしをしてくれるんです。手作りの味は本当に温かくて、どんな豪華なごちそうより嬉しかった」と話す星谷さんは自身もおもてなしをする時には、いつもスープを作るようにしている。

「普段の食事でもおもてなしの時にもよく作るのが、季節の野菜を使ったポタージュ。ポタージュは、その中に季節がぎゅっと凝縮されているようで、大好きな料理です」と言う。ポタージュの楽しみのひとつが、素材によって変わる〝色〞。

「その時期に美味しい野菜を組み合わせると、自然とその季節の色や香りに仕上がります。野菜は1種類でもいいし、いくつか合わせても美味しい。この前は春キャベツと水と塩だけで作りました。少しグレーがかった色になるんですが、そんな色も自然で美しいなと思うんです」
ポタージュにすることで改めて気づかされる、野菜の美しい色。
さらに、仕上げにオイルをたらしたり、ハーブやスパイスを散らすと、ぐっと表情が豊かに。

「きれいな色の上に絵を描くような感じ。難しく考えず、合いそうだなと思うトッピングを自由にのせてみて下さい。ほんのちょっとのことですが、それだけでガラリと雰囲気が変わって華やかになりますよ」

ポタージュの ふたつの楽しみ方

ポタージュトッピングありB R E A K F A S T

ポタージュトッピングなしD I N N E R

温かくても冷たくても美味しいのがポタージュ。冷たくするととろみが強くなり、味がより濃く感じられる。朝と夜でトッピングを変えて味わうのもポタージュのふたつの楽しみ方。

星谷さんの手作りパン& スープ

手作りパンは、 好きな形に整えて。 かわいらしさに胸が弾む!_焼きたてのパンを持つ星谷さん家にある材料で手軽に作れるシンプルパンは、
コアラやバナナ、カタツムリなど、好きな形に成形してかわいく変身。
たくさん焼いて手土産にすることも。

シンプルパン

焼きたてのパン(コアラ、カタツムリ、バナナ)3種類スープによく合う素朴な味わい

 

【 材料 】 

強力粉… 3 0 0 g  
砂糖… 大さじ2  
塩、インスタントドライイースト… 各小さじ1

水… 1 8 0 ㎖  
オリーブ油… 大さじ2

【 作り方 】
ボウルにA を入れてゴムベラで混ぜ合わせ、水、油を加えて切るように混ぜる。水分が均一に行き渡ったら手のつけ根に体重をかけるようにしてこね始める。

1
生地がまとまってきたら台に移し、なめらかに
なるまで10分ほどこねる。
2
生地を丸めてポリ袋に入れ、なるべく空気を入れないようにして口をしっかり縛る。生地が倍に膨らむまで、夏は30分、冬は1時間ほど常温に置く。(一次発酵)
3
生地をポリ袋から取り出し、空気を抜いて丸める。8 等分し、好みの形に成形する。この時、成形中以外の生地は乾燥しないように濡れ布巾をかぶせておく。

【コアラ】
コアラの顔と耳のパーツを作る

鼻となるアーモンドを乗せる焼きあがったコアラのパンレーズンで作ったつぶらな瞳とアーモンドの鼻がかわ
いいコアラ。顔の大きさによってはクマに変身!

4
クッキングシートを敷いた天板にパンを並べ、
霧吹きをかけて、生地が倍に膨らむまで夏は
20分、冬は40分ほど常温に置く。(二次発酵)
5
200℃に予熱したオーブンで13分ほど、こんが
りするまで焼く。

ほかにもこんなアレンジを。
【カタツムリ】
生地をめん棒で伸ばす
うずまきに巻いてカタツムリの形に成形する
焼きあがったカタツムリのパンくるくる巻き込んだ形とカボチャの種で作った目がチ
ャーミング。細長く伸ばす作業は休ませながら行おう。

【バナナ】
生地をバナナの房3本とヘタの部分に分ける
バナナの形に成形する
焼きあがったバナナのパン房と房をちぎりながら食べるのが楽しいバナナ。
膨らむので、少しスリムに仕上げておくのがおすすめ!

 

季節の豆乳ポタージュ

色鮮やかなパプリカのスープ美しい色もごちそう!

【 材料 】
(春) 新玉ねぎ、グリンピース、
スナップエンドウなど… 各適量
(夏) カボチャ、パプリカ、トマトなど… 各適量
(秋)きのこ、レンコン、サツマイモなど… 各適量
(冬)長ねぎ、ジャガイモ、カリフラワーなど… 各適量
オリーブ油… 適量
ローリエ… 適量
豆乳( 牛乳や生クリームなどでも)… 適量
塩、こしょう… 各適量

【 作り方 】
1
鍋に油を入れて中火にかけ、適当に切った野菜、ローリエ、塩(2人分なら小さじ1/2ぐらいを目安に)を加え、時々蓋をしながら、透き通るまで炒める。

2
水をひたひたまで加え、煮立ったら蓋をして弱火で20分煮る。

3
粗熱がとれたらローリエを取り除いてミキサーで攪拌する。豆乳や牛乳や生クリームなどで好みの濃度に伸ばし、塩、こしょうで味を調える。

星谷さんのプロフィール写真

【PROFILE】
ほしやなな
料理家。毎日の家庭料理やおやつの提案をする。ストーリー性のあるスタイリングや世界観も人気。著書に『BAKE 焼き菓子の基本』(成美堂出版)
www.apron-room.com

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雑誌の情報はこちらから。

星谷菜々

料理家星谷菜々

料理家。ワインエキスパート。都内で料理教室apron room主宰。主に女性誌で毎日の家庭料理とお菓子を提案している。著書に『BAKE 焼き菓子の基本』(成美堂出版)、『フルーツスイーツダイアリー』(グラフィック社)など。

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