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サラヤ『ヤシノミ洗剤』の ルーツを探る旅レポート 旅人:柚木さとみ

2018/11/05

サラヤ『ヤシノミ洗剤』の ルーツを探る旅レポート 旅人:柚木さとみ

料理家さんをはじめ料理好きな人に愛され続けている「ヤシの実洗剤」。合成香料や着色料など洗浄に不要な成分を入れないことで、肌に優しいのはもちろんのこと環境にも優しい洗剤として注目されている。そんなヤシの実洗剤が生まれたルーツを私たちはよく知らない。そもそもヤシの実洗剤って? そんな疑問を持った私たちは、料理家の柚木さとみさんとともにヤシの実洗剤のルーツを探るべくボルネオ島へ行ってきた。

ヤシの実洗剤の原料とは?

ボルネオの森『ヤシノミ洗剤』の原料は、「ヤシ油」と「パーム核油」を混ぜたもの。ヤシの実というと「ココヤシ(ココナッツの木)」をイメージする人も多いが、パーム油は、小さな赤い実を1房に何千個も実らせる「アブラヤシ」が原料。赤い実の果肉からは「パーム油」、種子からは「パーム核油」を採取でき、全使用量の約8割が食用。ポテトチップスなど、原材料名に植物油(植物油脂)と表示されているものの多くは「パーム油」のこと。森林伐採が環境問題として取り上げられる一方で、パーム油産業で生計を立てている現地の住民も多くいるのも事実。サラヤは、そうした現実と環境保全の両面ともに誠実に向き合っている。それらを知っておくことで、商品を使う私達自身の、環境に対する意識改革にもなるはず。パーム油

〝人と地球にやさしく〞をコンセプトに、合成香料や着色料など洗浄に不要な成分を入れないシンプルな処方の『ヤシノミシリーズ』。中でも1971年に誕生した『ヤシノミ洗剤』は、石油系洗剤による水質汚染が社会問題となっていた時代に、植物系洗剤の先駆けとして誕生。今もなお、世代を超えて愛され続けるロングセラー商品だ。一方で、食用としての需要の世界的な拡大などにより、原料のひとつであるパーム油の生産量が増加。主要生産国のひとつであるマレーシア・ボルネオ島では、熱帯雨林が伐採され、多くの動植物が絶滅危機にあるなど、様々な環境、社会問題が起きている。サラヤではこれに目を向け、各種団体と協力。2004年よりボルネオ島の環境保全に取り組んでいる。ボート

 

ボルネオ島で今起きていることとは?

熱帯雨林野生動物の暮らす場所が少なくなってきているアブラヤシの大規模なプランテーション(農園)が急速に拡大。1970 年代にはボルネオの86%を覆っていた熱帯雨林が、約30 年後の2005年には60%に減少。その中でも原生林になると、わずか5~10%程度しか残っていない。

ゾウ熱帯雨林の伐採で、野生動物が住処を追われる事態に。パーム油関連ブランドである「ヤシノミ洗剤」をはじめ、各製品の売上の1%(※)が、ボルネオ保全トラストを通じて島の環境保全活動に生かされている。※メーカー出荷額

野生動物と自然を守る、3つのサラヤのプロジェクト

1.命の吊り橋プロジェクト

命のつりなしゃホースで作られたもの。消防ホースは丈夫なうえに防水仕様と、優れた機能性を持つ素材

ボートに乗り、キナバタンガン川支流へ。川の間を進むと、消防ホースで作られた「命の架け橋(吊り橋)」が見えてくる。本来であれば川の両端から覆いかぶさるように木々が茂り、それを伝って森と森の行き来が可能になるところだが、過去の伐採によりまだ若い木が多い状態。川で森が分断され、オランウータンなどの野生動物は限定された地域しか移動できず、食糧や繁殖の機会が失われることに。その対処法として森と森を吊り橋でつなぎ、命をつなげる試みをボルネオ保全トラストと協力して行っている。

 

2.セピロク・オランウータンリハビリテーションセンター

オラウータン森林伐採などが原因で行き場を失い、親を失ってしまったり、はぐれてしまったりしたオランウータンの子どもを保護し、将来的には森に帰って自立ができるよう、野生に戻るためのリハビリを日々行う施設

サバ州サンダカンに位置する「セピロク・オランウータンリハビリテーションセンター」。センターを訪ねた当日は、前日に降った大雨の影響で全施設を見学することは叶わなかったが、1日に2回行われる餌やりや赤ちゃんオランウータンのリハビリなど、普段見ることのできないオランウータンの様子を間近で見学する貴重な体験が可能。センター内のリハビリ区域は原生林に近い状態が保たれ、手つかずの森が一面に広がっている。生後1~2年ほどの子ゾウの保護施設も併設。ゾウ
オラウータン

 

3.ボルネオ・エレファントサンクチュアリー

ゾウと柚木さん現在保護しているゾウは2頭。施設をさらに大きい規模に拡張する工事も始まっており、徐々にではあるが環境が整えられつつある

サラヤの野生動物救出プロジェクトは、2005年1月、サバ州野生生物局(SWD)へ野生動物救出移動用の車を寄付したことから始まる。しかし2010 年の冬、保護したゾウを移動させる森が見つからず、ゾウ専用保護施設の必要性が求められてきた。そこで、ボルネオ保全トラスト、サバ州野生生物局、日本の『旭川市旭山動物園』坂東園長を中心に、野生動物のケガの治療や一時的な保護などの救出作業を行う「レスキューセンター設立プロジェクト」が発足したのだという。

最適な空間づくり

今回の旅では、ボルネオの自然の豊かさを肌で感じただけでなく、普段目にすることのない環境問題にも迫る、貴重な体験が盛り沢山であった。特に印象的だったのが、空の上から見た熱帯雨林の姿。土地面積の多くを木々が占めていることがハッキリとわかり、リアルなボルネオの現状を実感。ヤシの実の収穫もアナログなので、かなりの重労働ということもわかった。しかし、国の収入源として成り立っているプランテーションを減らすのも難しいのが現実。保護される動物達のことを考えても切ないですし、自然とのバランスを取っていくことの難しさや新たな課題が見えてきた。長年愛されている『ヤシノミ洗剤』の背景を知ることで、日々の生活で欠かせない洗い物の時間に少しでも環境のことが感じられたらうれしい。

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